今日は重い話…。
障がい者とは縁のなかった私が、きょうだい児と結婚した時の私の心の内を語ります。
きょうだい児の方、障害を持った子どもを持つ方それぞれ大変だと思いますし、結婚に対しても色々思いはあると思います。
ですが今回は、「きょうだい児と結婚した私」の立場での正直な気持ちを書きます。きれいごとばかりじゃありません。きょうだい児がいる方とはまた立場も違うので、きょうだい児がおられる方には厳しい内容かもしれません。
ご理解ください。
きょうだい児と結婚した話
私の旦那はきょうだい児です
私の旦那には、自閉症の兄弟がいます。俗にいう「きょうだい児」です。
障害がある兄弟を持つ人のこと。
兄弟は自閉症。中度?重度?で養護学校→作業所だったとのことです。
私はこれを、付き合ってから知りました。結構軽い感じで話されたのもあって、私もそんな重大にとらえてはいませんでした。(職場恋愛です)
正直、付き合っている間は相手の家族がどうであろうと自分には直接関係なかったんですよね。旦那(当時は彼氏)といれる間が楽しかったので、それだけで良かった。
ですが、実際に結婚すると、「きょうだい児」といいうのは現実的に自分の身に関わってくることになります。
ネットで検索すると、「きょうだい児との結婚をためらう」という悩みには
「そんなヤツこちらからお断りだ!人手なし!」みたいなコメントがずらっと並んでいてびっくりしました。
そりゃあ確かに誰しも事故や病気で急に障害者になるかもしれない。
だけど確率の問題ですよね。身内で誰かが事故に遭って障害者になる確率が数パーセントとして、最初から100%苦労するとわかっている所を選ばないといけないのか。
世の中きれいごとだけじゃないんですよ。
今日は実際私がきょうだい児と結婚したことで、どうだったかを書きます。
きょうだい児と結したことで、怖かったこと
1番怖かったのが、子どもへの障害の遺伝の問題
妊娠してから2歳頃までずっと辛かった
「きょうだい児」である旦那と結婚したことで一番辛かったのが、子どものこと。
「遺伝は関係ない」という人もいますが、「双子が二人とも自閉症だった」という話などからもわかる通り、私は自閉症という障害には遺伝が多少は関係していると思っています。
私は、このことにものすごーーーーーく悩み、苦しみました。
覚悟してから結婚→妊娠したのならまた違ったのかもしれません。私の場合出来婚で予想外の妊娠だったので、余計です。
子どもにもし障害があったら。そう考えて毎日悩みました。
マタニティブルーもあいまって、ここでは書けないような真っ黒な気持ちになりました。
そして、覚悟が出来ないまま…出産します。
出産直後はアドレナリンも出ていたし、本当に可愛かったです。
ですが、「子どもが可愛い」と思う気持と共に、常に「子どもが自閉症だったらどうしよう」という不安がありました。
出産後、自閉症の行動を調べる日々
自閉症は、生まれてすぐはわかりません。症状が出てくるのは1歳とかから。正式に診断がつくのが3歳を過ぎてからと言われています。
勿論出産前に「障がい者だから」とわかって堕胎することも出来ません。
なので、出産してからも子どもの一挙一動が気になっていました。何か変わった行動をするたびに「自閉症 〇〇(行動)」等で調べる日々です。
自閉症の行動としてよく出て来る行動を息子がすれば、ショックで何もできなくなったりしました。
普通なら「今日は子供が〇〇出来るようになったよ!すごい!かしこい!かわいい!」という気持ちになる所で、
私はずっと「今日は子供が〇〇した。これは自閉症の症状なんだろうか」と悩んでいたんです。
(今思えば本当に勿体ないことをしたと思っています。。可愛い息子なのには変わりないんだから、息子の出来ることは素直に褒めてあげればよかった。)
息子は言葉も遅く、意思疎通もなかなかできなかったので悩みは長く続きました。
大分落ち着いたのは、長男が2歳を過ぎてから
私の気持ちが落ち着いてきたのは、長男が2歳をすぎて自閉症の重度の可能性が少なくなってから。
5歳の現在遅れはあり、療育にも通っています。ですが言葉も通じるようになり、重度の自閉症の可能性が少なくなったのでそこまで深刻に悩む気持ちはなくなりました。
それまでの3年間は本当に辛かったです。
軽度の発達障害であれば、みんなと一緒に就職することも可能です。でも、もし子どもが重度の自閉症だったら、意思疎通が出来るかわからない子どもを一生面倒を見ないといけないかもしれません。それが怖かったんだと思います。
本当なら、お腹の中で大きくなっていく子ども。生まれてどんどん成長していくこども。全て喜ばしいことであり、育児は楽しいことがいっぱいのはずです。
だけれど私はずっと辛くて怖かった。旦那の兄弟に障害が無ければこんな気持ちにはなりませんでした。
子どもが結婚出来るかどうか
私が経験したような気持ちを子どもたちの配偶者も味わうと思うと…子どもたちの結婚は不安です。
身内に障害者がいることで、相手方の家族に結婚を反対されることもあるかもしれません。
そう思うと、将来がすごく怖いです。(今は考えないようにしてます…。)
将来、障害のある身内の面倒を誰が見るのか
どうしても、親は先に亡くなります。
その後、旦那の兄弟の面倒は誰がみることになるのでしょうか。
それも気になりました。
親がしっかり貯金をしてくれているのなら、施設に入る目途がついているのなら、大丈夫かもしれない。
だけど、どうなるかはわかりません。もし急に義親に急に何かあったら、子育てと並行して障害のある兄弟の面倒をみることになるかもしれません。2人目を諦めて障害のある兄弟の世話をすることになるかもしれません。
「施設に入れる」なんて軽く言うけれど、実際は施設なんて簡単には入れなさそうですよね…。
申し訳ないけれど、私は「障害児の面倒を見なくてもいい」という話を結婚前に旦那としました。一応旦那は「大丈夫」と言っていますが…実際はどうなるかわかりません。だって私たち以外に見る人がいなんだもん。だから少しは覚悟しています。
きょうだい児の親がどうかも大事
よくきょうだい児の方で、「親が(障害のある兄弟の)将来は心配せずに、自由に生きればいい」と言っている方を見ます。すごく羨ましいです。
うちの義母は「将来あなたに面倒見て貰わなあかんから」みたいなことを普通に言ってくるタイプ。
どこまで本気なのかはわからないけど、正直、重いです。結婚前に言われてたら、結婚してなかったと思います。
私が思う、きょうだい児との結婚の覚悟
きょうだい児との結婚はきれいごとだけじゃない。
私は、そう思います。
現実的にいくつも影響が出てきます。
障がいを持ったきょうだいの世話もそう。
いくら親がしっかりしていても、親は先に亡くなります。
義親が亡くなってしまったら、障害を持った兄弟の世話を自分が引き継がなくてはいけないかもしれません。
子どもは大きくなりますが、障害のある方の世話は一生です。
大人になって落ち着いている方も多いのかもしれません。旦那の兄弟も少しは話が通じるし、そんなに激しい方ではないと思います。
それでも「暴れて店の外装を壊した」「付きまといをした」等警察沙汰になったことがここ数年で何もあります。子供なら何とかなるかもしれませんが、自分とそう変わらない年齢の男性がそれをする訳です。
そんな力も体力もある大人の面倒を見るのは…いくら好きな人の兄弟とはいえ、どれだけ大変か想像もつきません。
私の家にいきなり警察がきたこともあります。
きょうだいが何かの問題を起こして、義母が警察に迎えに行くのに都合がつかず、私の家に来たようです。
身元引受?をしないといけなかったのかな?
たまたま私はその時実家に帰っていて留守だったんですが、正直身元引受はやりたくない…。自分の子供や家族ならともかく、別に暮らす成人男性を責任を持って今後見張ることなんて出来ないし。。
家に警察が来たことで近所の噂になったり。子供がいじめられる可能性だってありますよね…。
覚悟と、周りにも理解してもらう
上であげた私の3つの怖かったこと。私は特に遺伝の件がとても怖かったです。結婚できるかは、これらの覚悟を出来るかどうか…じゃないかな、と思います。
この3つが自分の中でクリアできても、今度は家族に理解してもらうのが大変です。
実際障害児に偏見を持っている方は多いので。「兄弟の障害を理由に家族に結婚を反対された」ってよく聞く話ですよね。
もし自分の子供に遺伝が出て障害児になったら、今度はそれが自分の兄弟の結婚に影響がでる可能性もあります。
私の弟も最近結婚を考える彼女がいるようですが、私の子供の遺伝のことを気にしていました。(息子の発達が遅れていたので)
「そんなことで差別する人はお断りだ」と、そんな風に思える心の強い人だらけなら問題はないかもしれませんが…。世の中そんな人ばかりではありません。
なので、家族のことを考えると自分ひとりの気持ちだけで突っ走ることもできないなあと思います…。
今の私の気持ち
旦那と結婚してよかった
私は旦那と結婚することで、「障がい者を身内に持つ人」とのつながりが増えました。
その人たちに共通することが「優しい」こと。
旦那も優しいです。そこが好きで付き合いだしました。
私は自分の子供が「自閉症じゃないか」と悩んでいることは旦那には言えませんでした。1人でずっと悩み、考えこんでいました。
そして一度、どうしても辛くてぶつけてしまったことがあります。その時、旦那は「大丈夫。身近で障害を見てきた僕だから。大丈夫ってわかるよ」と言っていました。
私は心の中では「見てたといっても赤ちゃんを見る機会なんて自分が小さい時だけだし、本当にこの状態の息子が大丈夫って言えるの??」と半信半疑で旦那を信じ切った訳ではありませんでしたが(笑)
でも気が少し楽になったのは事実。
それから今も、ずっと旦那は優しいです。何かあったらすぐ私のことを心配してくれるし、当然私たち2人の子どもは可愛いし。
私が落ち込んでいる時は、何も聞かずに仕事帰りに私の好物を買ってきてくれるような人です。家事も育児も一通り1人で出来るので、私に自由時間も沢山くれます。なので私は家事も育児も1人で背負ったことがありません。
本当にいい人と結婚したな、と思っています。
「障害を持った兄弟がいるから」こういう優しい性格の旦那が出来たのかもしれません。
子どもに重度の障害が遺伝しなかった今は、穏やかに楽しくすごせています。
ただ…ごめんなさい。子どもにもし重度の障害があったら…受け止めるのにもっと大きな時間がかかっていると思います。
「きょうだい児」との結婚を悩んでいる方へ。
私が「きょうだい児」との結婚を考えている人に言いたいこと。
それはやっぱり、「きれいごとじゃない」ということです。
すごくデリケートな問題なので、このことで悩むこと自体がタブーのようですが。
実際結婚した私は、幸せだけど将来が怖いです。これが一生続きます。
本当に、納得するまでよく考えてください…。